子どもたちのモチベーションを保つのは難しいですよね。日常生活と同じくアプリやゲームでもモチベーションを保ち離脱率を抑えることが大切です。この記事ではモチベーションについての子育て論を紹介しそれをアプリに取り込む案を考えます。
やるな!は、やるな
心理的リアクタンス
ピンクの豚を想像しないでください
こういわれてピンクの豚を想像しない方はいないでしょう。一度言われたことに対して、考えないようにすることはとても難しいです。
また、「今日はゲーム禁止です」と言われるとゲーム禁止であることが一日中あたまから離れないことでしょう。
これは心理的リアクタンスと呼ばれる現象で日本ではカリギュラ効果ともいわれます(厳密には違うのですが・・・)。自由を制限されたと感じたときにそれを取り戻すような感情が生まれることですね。
子育ての日常でも、
- そんなとこに落書きしないで!
- 食べ物で遊ばないの!
- 1人で走って行かないで!!
なんて叫びを何度も繰り返しているにも関わらず、子どもたちは逆に喜んでメンメを続けていることでしょう。
これは親を困らせて注目を浴びたいという思いもありますが、禁止されたことでより一層とそのことが気になる存在になっているからです。
望ましい行動に導く
ではどうするかというと、ダメというより「こうすればもっといいことが起こるよ」とポジティブな言い方で導く方法があります。たとえば、
- このボードなら好きなだけ描けるよ
- この魔法のスプーンなら上手に食べれるよ
- あとで公園で一緒に走ろうね
というような具合です。トイレの張り紙にある「いつもキレイにご利用いただきありがとうございます」と同じ理屈ですね。
ジャンプすれば穴を飛び越えられるよ
この考えはアプリでも応用できそうです。
かの有名なジャンプゲームに今風のチュートリアルをつけるとすると「ジャンプしないと穴に落ちてしまいます」となるでしょうか。オトナであれば理解できますね。
しかしながら、子どもは禁止されるとやりたがるので何度も落ちて遊びだすかもしれません。
もし教育系アプリであればそれは致命的で、意図したアクションを全然とってくれなくなるでしょう。
そこで、
「ジャンプをすれば穴を飛び越えられるよ!」
と案内すればどうでしょう? 今度は何も禁止はされておらず、きっと素直に指示に従ってくれるはずです。
言い方ひとつで子どもが受け取る印象はまったく変わってくるので、チュートリアルやゲーム内ヒントはポジティブな言い回しにしてみたほうがよさそうです。
慎重に段階をつける
失敗から学ぶのはまだ早い
アプリデザインの面では1つ気を付けたいことがあります。
子どもはトライ&エラーできるほど自己効力感がない
ということです。
たとえば箸を持って食事をさせようとすると最初は興味を持つものの、それが自分には出来ないとわかると興味を失って投げ出す、というような経験がありませんでしょうか。私はあります(笑)
興味を失うどころか拒否感すら生まれ、二度と箸を持たなくなることすらあります。大変です。
これは子どもに「やればできる」という認識がまだ芽生えていないからだといわれているようです。
失敗をバネに頑張れるほどは子どものハートが成長していないのです。
環境を整えてあげてほめることが大事
ですので、オトナは子どもたちが気持ちよく「やればできる」感を養うために、できるだけハードルを低くしてからチャレンジさせるとよいようです。
箸の例でいうならば、グー握りした手の上からオトナが手伝ってミートボールを刺して食べる、くらいの慎重さでしょうか? 決して失敗させてはいけません。
この小さな成功体験のステップを経ると、子どもが「できた!」という喜びを感じ、自己肯定感が養われていくそうです。
そのために、我々オトナはあらゆるお膳立てをしましょう。
オトナの世界でもこうあって欲しいですね(笑)
ステージ設計は大げさなくらい緩く
アプリやゲームの世界でも、最初が難しいと続きをやらなくなり離脱してしまいます。
その点の対策を最近のゲームでは良く考えられていて、ゲーム内で手取り足取り少しずつ教えてくれます。高難度で有名なソウルシリーズですら最初の操作説明は非常に丁寧で段階的だったりします。
オトナ向けでも対策がされるくらいなので、子ども向けではより一層とステップを緩やかにした方がよさそうです。
もし有名ジャンプゲームが現代にきたら、歩く→走る、ジャンプ→踏む・飛び越える、が1ステージごとに説明されているようなイメージでしょうか。
繰り返しますが、やればできる感が芽生え楽しさを理解するまでは決して失敗させてはいけないのです。
スゴイよりアリガトウ
褒めて伸ばすの弊害、アンダーマイニング効果
昨今、叱らない子育てが流行しているそうですね。褒めて伸ばすという方法です。
前述のとおりダメといっても余計にNG行動を助長してしまいますが、逆に良い行動をしたときに褒めることでその行動を強化できるという手法のようです(余談ですが結果より過程を褒めるほうがモチベーションにつながりやすいそうです)。
ただ、これは諸刃の剣でもあります。
ご褒美的にほめ続けていると、褒められることが行動の目的となってしまい自発的なモチベーションが低下してしまうことがあるそうです。こうなると、褒められる行動以外は何もしなくなります。
テストで100点とったらお小遣いをあげるという手法がうまく機能しないのと同じ理由で、アンダーマイニング効果と呼ばれるそうです。
子どもは役に立ったと感じると嬉しい
そこで、スゴイと褒める代わりに「ありがとう」と言ってみましょう。
- ちゃんと座って食べてくれてありがとう
- 走らず一緒に歩いてくれてありがとう
- 服をしまってくれてありがとう
といった具合です。これならスゴイことをしていなくても気軽に言えそうです。
役に立ったこと自体が嬉しくなるため次のモチベーションにもつながりますし、
自己効力感も上がるので人を喜ばせることに喜びを感じてくれるようになるかもしれません。
余談ですが、試しに我が家でも取り入れたところ嬉しそうに食後の食器を運んでくれるようになりました。ありがとう!
感謝の工夫
でも知育アプリなどのデザインで、タスクをこなしたときの反応にはつい「スゴイ」と表示したくなりますよね。
タスクができたのだからスゴイと言いたくなるのは当然なのですが、ここはグッとこらえて派手目のエフェクトに留めておいたほうが吉かもしれません。
そして、スゴイの代わりにアリガトウ要素も入れてモチベーションアップを目指してみましょう。
少しゲーム設計に工夫が要りそうですが、たとえば、親のような存在をアプリに配置して子どもたちにタスクをお願いをするという形式をとればアリガトウを取り入れることができそうです。
アリガトウの根拠が必要なためどうしてもストーリー仕立てになるのがネックですが、ゲーム内とはいえ感謝されれば嬉しいのは大人も一緒なので是非とりいれたいです。
ただ、アプリやゲームのデザインとして明確な報酬もやはり必要です。RPGでいうところの「ボス撃破ボーナスの大金」みたいなもので、これがないとゲームのモチベーションが維持できません。難しいタスクをクリアしたなら、惜しみなくスゴイをあげましょう!
まとめ
子どもにやる気を出してもらう子育てモチベーション論の紹介とアプリへの適用を考えました。
1つは心理的リアクタンスの対策です。自由を制限されたと感じたときにそれを取り戻すような感情が生まれるため、「ジャンプしないと穴に落ちてしまいます」というより「ジャンプをすれば穴を飛び越えられるよ!」とポジティブな言い方で導く方法を考えました。
2つ目はエラーレストレーニングの話で、子どもはトライ&エラーできるほど自己効力感がないため慎重に小さな成功体験のステップを重ねるようにデザインする必要があります。
最後に紹介したアンダーマイニング効果は過剰な報酬がモチベーションを下げるという話でした。なんでもスゴイと過剰に褒めると、褒めてもらえないことはやらなくなります。アプリでは適度にアリガトウを織り交ぜて子ども自身に人の役に立つ実感を持ち自己効力感を養ってもらいたいです。
かわいい我が子にオリジナルアプリを!
参考文献
心理的リアクタンス理論(1), 深田 博己, 1997
http://doi.org/10.15027/29351
どうせならもっと上手に叱ってくれない?, 吉村直記, すばる舎, 2021
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